9日、台北の松山空港に降り立った時、いつもの緩んだ南国の空気とは違った緊張感が漂っていた。空港設置のテレビの前に人だかりができており、馬英九総統の会見を流すニュースを複雑な表情で見入っていた。
台湾で、久々に大型の政争が突如始まった。国民党の2大巨頭と言える馬英九総統と、国会議長にあたる王金平・立法院長との内紛である。現時点までは、馬総統が王院長の海外滞在という本人不在の機に乗じて、普段の決断力のなさからすると意外なほど素早く王氏排除に動き、優勢に事を進めている。
「口利き」の盗聴結果
発端は先週末に開かれた最高検の特別捜査チームの記者会見だった。野党・民進党の立法委員団団長である柯建銘氏が起訴され、一審で無罪判決が出た会計法違反の事件について、柯氏が王院長に対し、検察が上訴を断念するように「口利き」を頼んだ会話の生々しい盗聴結果が会見資料として配られ、台湾社会が騒然となったのである。
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