経済の頭で考えたこと
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「中南米の安定」が「米の世界戦略」に与える影響
化学兵器を反政府勢力に使ったとされるシリアのアサド政権に対する軍事攻撃に米国民の反対が高まっている。議会承認を求めたオバマ政権の状況把握力を疑問視する声も多い。
対外関与姿勢において、歴史的転機に立つ米国の現状を捉えた説明として、次の2つが挙がることが多い。
(1)ジョージ・W・ブッシュの対イラク戦争、オバマの対アフガニスタン戦争はいずれも成果というには程遠いものだった。21世紀におけるこの2つの戦争に対する厭戦気分のなかで、とても対シリア戦争に賛同はできないという判断が広がった。
(2)シェール・ガス革命によって中東のエネルギーに対する米国の依存度が低下し、遠くない将来に中東原油からの完全脱却の見通しが実現しそうなところから、地政学上の関心が中東から離れつつある。

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