「森派の天下を磐石にするための布石だな」 衆議院選挙に勝利すれば、小泉純一郎首相は自民党総裁としての任期を一年延長すべき――衆議院選挙の公示を前に、森派会長の森喜朗前首相が唱え始めた「任期延長論」を、ある参議院議員はそう評した。 そして九月十一日、自民党は圧勝した。与党内で任期延長を求める声が奔出する中で、がぜん注目を集めたのは総裁派閥の伸張だった。 旧橋本派に次ぐ第二派閥だった森派は、最多の五十五人を立て五十三人が当選。参院を含めた勢力(同十二日現在)は、旧橋本派七十人(解散前は八十五人)に対して七十九人(同七十六人)と、最大派閥に躍り出た。非主流派の三派閥(旧橋本派、旧亀井派、旧堀内派)に上がり目はなく、山崎派や小里派など傍流・小派閥が首相に雷同する現状を考えれば、森派は事実上「自民党に残された唯一の派閥」になったといっていい。
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