インテリジェンス・ナウ

舞台裏で急接近米‐スーダン「情報協力」の陥穽

執筆者:春名幹男 2005年10月号
エリア: アフリカ 北米

 米中央情報局(CIA)はよく、重要な協力者を客人としてワシントンに招き、歓待する。フジモリ元ペルー大統領を陰で支えたモンテシノス元国家情報局(SIN)顧問も若い頃CIAに招かれたことがある。故アラファト・パレスチナ自治政府議長の治安警察長官だったラジューブ氏には防弾ガラスのVIP用リムジンを用意した。 いずれも、後になってその事実が明るみに出た。だが、スーダン国家情報治安局(NISS)のサラハ・アブダラ・ゴシュ長官(少将)をCIAが四月下旬に招いた時は、さすがに米政府内から批判が出て、米紙ロサンゼルス・タイムズにすっぱ抜かれた。CIAがわざわざジェット機をスーダンの首都ハルツームに差し回すという、至れり尽くせりのもてなしだった。

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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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