タイでは陰暦12月の満月の夜、バナナの葉で飾った灯篭を川面に浮かべ、収穫を寿ぎ、大地を潤す水の聖霊に感謝し、罪穢れを水に流し魂を清める「ローイ・クラトーン(灯篭流し祭り)」が行なわれる。例年では、この祭りが終わるとタイは爽やかな乾季を迎える。だが、今年は違っていた。11月半ばの祭りが終わるのを待っていたかのように、またぞろ“熱く狂おしい政治の季節”がはじまったようだ。
悲劇は繰り返されるか?
11月24日、バンコクの中心部に位置し、民主化・反政府運動の象徴でもある民主記念塔に「史上空前の100万人(警察発表では7万人)」を集めた反タクシン勢力は、インラック政権打倒・タクシン政治の排除を掲げ、翌25日には外務省、財務省・予算局、内閣府メディア管理部門を占拠し、さらに26日になると内務省、農業省、運輸省、観光・スポーツ省などを包囲し職員に退去を要求するなど、運動を一気にエスカレートさせた。
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