ロケット博士にして詩人、古弦楽器も奏でる大統領が、インドの科学技術先進国への歩みを率いている。 A. P. J. アブドル・カラムは、インドの「ミサイルの父」として広く知られた人物だ。第十二代大統領に就いたのは二〇〇二年七月、バジパイ前政権時代のことだが、マンモハン・シン首相率いる現政権とも良好な関係を保っている。インドの大統領は、ドイツなどと同じく国政の実権をもたない象徴的存在だが、カラムはいささか違う。彼が提唱するインドの未来構想「ビジョン二〇二〇」は、第十次五カ年計画(二〇〇二―〇七)策定にも多大な影響を与えた。
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