ここ数年、レオ・シュトラウス(一八九九―一九七三)ほど騒がれた思想家はいないだろう。いわく、九・一一テロへのアメリカの対応は、シュトラウス思想の影響だ。いわく、ブッシュ政権の独断外交を主導したネオコン(新保守主義者)を背後から思想的に支えたのはシュトラウスである。 それまで一部の思想史研究者を除いてあまり知られていなかった、このドイツ生まれのユダヤ人の政治哲学者をめぐり、アメリカの新聞、雑誌は「謎めいた哲人」といった視点で、さまざまなことを書きつらねた。騒ぎは、大西洋や太平洋を越えて、欧州や日本にも波及した。ほとんどが、ネオコンに絡めてシュトラウスを論じた。
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