深刻な低迷続く“AVメーカー御三家”問題の深層(パナソニック編)

執筆者:安西巧 2014年3月31日
エリア: アジア

“旧3社”の壁を取り払えるか、津賀社長の手腕が問われる (C)AFP=時事

「デジタル敗戦」で沈んだAV(映像・音響)大手メーカー3社の中で最も「回復」が早いとされるパナソニック。不採算事業や工場閉鎖などで遊休地化した資産の売却などを着々と進め、2013年第3四半期(4-12月期)には連結最終利益で過去最高益を更新した。同社関係者や一部マスコミには、陣頭指揮に立つ社長、津賀一宏(57)を10年前に同社をV字回復に導いた当時の社長(現相談役)の中村邦夫(74)になぞらえ、「改革型リーダー」と持ち上げる向きもある。ただ、津賀が進めている「選択と集中」には株主がクビを傾げたくなるようなケースもあり、数年来のグループ再編やM&A(合併・買収)で膨張した社内で社長の求心力が高まる気配もない。「中村改革」と称した10年前のリストラや薄型パネル事業推進の「一本足打法」が5年と持たなかったことを社員も株主も覚えており、そして疑っている。津賀が「第2の中村」ではないかと――。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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