「年内にもダライ・ラマが一時帰国する」――二月下旬から、こんな噂が飛び交った。二〇〇二年から始まった在インドのチベット亡命政府特使と中国側の話し合いは、二月の五回目の交渉を経て「着々と進展している」との情報が中国系香港紙を中心に噴出。報道に応えるかのように、三月十日のチベット蜂起四十七周年を記念するダライ・ラマの声明は「中国を巡礼の目的で訪問したい」「中国の変化と発展をこの目で見たい」と望郷の念を吐露した。そのうえ亡命政府は四月の胡錦濤国家主席訪米に際し、在米のチベット人や支持団体に抗議活動を自粛するよう「かつてない強い口調」で指示したからだ。
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