キャノン中佐との恐ろしいデート:山口淑子さん追悼

執筆者:春名幹男 2014年9月16日
エリア: 北米 アジア

 戦前・戦中は李香蘭、戦後も国際女優として活躍した元参院議員の山口淑子(本名・大鷹淑子)さんが7日、心不全のため死去した。享年94歳だった。告別式は親族で執り行われ、喪主名も公表されない、ひっそりとした最後だった。

 彼女の戦前戦後の芸能人としての活躍や、参院議員を3期務めたことなどはよく知られており、各紙は彼女の死を1面、社会面、文化面に評伝なども大きく掲載、「波乱の生涯」などと伝えた。

 しかし、彼女が戦後、父親と中国情報当局との関係などを指摘されて、連合国軍総司令部(GHQ)防諜部隊(CIC)の監視を受けていたことは伝えられなかった。筆者は約20年前、米国立公文書館で彼女のファイルを発見し、彼女自身にも取材した経験がある。

カテゴリ: カルチャー
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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