行き交う車の台数があまりに少ないので、実際には普通の舗装道路なのだが、高速道路を走っていると錯覚してしまった。首都プノンペンから車で南西方向に三時間半。カンボジアで唯一の国際貿易港シアヌークビルに到着する。 かつてコンポンソムと呼ばれた港は、前国王シアヌークの名前に因んで「シアヌークの街(シアヌークビル)」と命名された。 そこに今年一月、小さな国際空港が開業した。世界遺産アンコールワットで有名な町シェムレアップとの間に、ロシア製のプロペラ機アントノフ24を就航させ、アンコールワットを堪能した観光客を、海洋リゾート開発中のシアヌークビルに誘致する胸算用だ。週に三便程度だが、今年中にはボーイング737の中古機を導入する予定だと、地元の観光業者の鼻息は荒い。

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