現在、世界の海に就航している外洋船舶は約十万隻。これらが「バラスト水」を重しにして航海することで、毎年百億トンから百二十億トンの水が世界中を移動すると推計されている。 バラスト水は、積荷のない船舶が代わりに重しとして積み込む海水だ。問題は、それに紛れ込んで、魚介類から細菌まで様様な生物も世界中を“航海”すること。バラスト水は積荷を積む時に排水されるため、紛れ込んでいた生物が本来生息しない水域で排出され、世界各国で生態系を破壊している。 国際海事機関(IMO)は二〇〇四年にバラスト水の規制・管理のための国際条約を採択したが、発効していなかった。しかし、この七月にIMOがスウェーデンのアルファ・ラバル社が開発した光触媒で生物を処理する装置を承認したことで規制の発効が現実味を帯びてきた。
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