前々号の本欄でご紹介したフェースブックに、十月二十四日マイクロソフトが二億四千万ドルを出資した。フェースブックは、米国中心に英語圏で急成長中の実名でのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)である。 未公開企業に出資する場合、出資の見返りに株式の何パーセントを取得するかを決めるため、出資先の企業価値を評価しなければならない。フェースブックの評価額はなんと百五十億ドル。マイクロソフトはこれほど巨額の出資をしたにもかかわらず、わずか一・六%の株式しか得られなかったのだ。 シリコンバレーのベンチャーにとっての目標は株式公開である。しかし公開時の資金調達額だって一億ドル以下が当たり前、企業価値だって十億ドルまでいくケースは少ない。昨年の秋は「グーグルによるユーチューブ買収」で大騒ぎだったが、それでもその買収額は十六億五千万ドルだった。このたびのマイクロソフトの出資条件が、いかに常識からかけ離れているかがおわかりいただけるのではないかと思う。

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