饗宴外交の舞台裏 (157)

米大統領国賓招待で締めくくった英女王「1カ月の大仕事」

執筆者:西川恵 2011年6月17日
エリア: ヨーロッパ 北米

 後に振り返れば2011年の初夏は、85歳のエリザベス英女王にとって、元首としての役割を最大限に果たした最後の大舞台、と言われるようになるかも知れない。
 4月末、王位継承順位では第2位のウィリアム王子のロイヤル・ウェディングと大レセプションをとり仕切った。5月中旬には隣国アイルランドを、その独立(1937年)以来初めて英君主として訪問した。5月24-26日にはオバマ米大統領夫妻を国賓として迎えた。1カ月に3つの重要行事。女王には、それらを英国の元首として細心かつ威厳をもってとり行なうことが求められ、気の休まる間もなかっただろう。

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執筆者プロフィール
西川恵(にしかわめぐみ) 毎日新聞客員編集委員。日本交通文化協会常任理事。1947年長崎県生れ。テヘラン、パリ、ローマの各支局長、外信部長、専門編集委員を経て、2014年から客員編集委員。2009年、フランス国家功労勲章シュヴァリエ受章。著書に『皇室はなぜ世界で尊敬されるのか』(新潮新書)、『エリゼ宮の食卓』(新潮社、サントリー学芸賞)、『ワインと外交』(新潮新書)、『饗宴外交 ワインと料理で世界はまわる』(世界文化社)、『知られざる皇室外交』(角川書店)、『国際政治のゼロ年代』(毎日新聞社)、訳書に『超大国アメリカの文化力』(岩波書店、共訳)などがある。
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