いったんは歩みを止めた欧州統合が、“仕切り直し”の条約で再びスタートを切れそうな態勢に戻った。しかし、前途はまだ多難……。[ブリュッセル発]欧州連合(EU)の加盟二十七カ国は、昨年十二月十三日、EUの新たな基本条約となる「リスボン条約」に調印した。「EU大統領」の創設などの機構改革が新条約の目玉だ。欧州が一つの国家となる将来像を鮮明に示した「EU憲法」に比べ、小さくまとまってしまった感は否めないが、欧州が将来、統合への歩みを再開する下地は整ったといえる。 新条約の調印式は、世界遺産に登録されたリスボンの名所、ジェロニモス修道院で行なわれた。欧州諸国の首脳と外相が一堂に会し、口々に「欧州の新時代」の出発を祝った。

「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン