十一月十日はインドネシアでは「英雄の日」。国家英雄の業績を讃える歴史再確認の日でもある。ところが二〇〇八年の英雄の日、インドネシア国民は驚くべきテレビコマーシャルを目にした。 イスラム保守政党の「福祉正義党」の党PRのCMに故スハルト大統領が登場したのだ。CMでスハルト氏は、独立の父・故スカルノ大統領や独立戦争の英雄スディルマン将軍と同列の国家英雄として取り上げられていた。これに対し、歴史家や民主化運動の活動家からは「政府はスハルト元大統領を国家英雄として認知していない」「汚職撲滅を強く掲げる福祉正義党が汚職、腐敗、親族登用という負のイメージの元大統領を党のPRに利用するのはおかしい」などと批判が噴出した。

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