経済の頭で考えたこと
(12)
オバマ政権が中東で模索する「巨大な協定」
二〇〇九年の年頭は、イスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区に対する分断作戦の苛烈化で始まった。これを受けて原油価格は上昇に転じ、〇八年十二月の四十ドル割れという水準はしばらくは想定しにくくなった。石油のもつ地政学的不安定性を再び認識せざるをえなくなったのだ。世界的なマネーの凍結のなかで、原油価格だけが上昇に転ずるという状況は、経済運営にとって好ましいことではない。一月二十日の米新大統領就任式典を前に、オバマ政権を構成する政策スタッフには動揺の色が表われたことであろう。 二月の総選挙を前にイスラエルの与党と政府はイスラム原理主義勢力であるハマスに対して、ガザからのロケット砲攻撃をもはや許容しないという姿勢を明らかにした。砲撃を封じ込める理論づけは「抑止」だ。
この続きは会員登録をすると読むことができます。
「フォーサイト」は、月額800円のコンテンツ配信サイトです。簡単なお手続きで、サイト内のすべての記事を読むことができます。
フォーサイト会員の方はここからログイン