深層レポート 日本の政治 (116)

「現実路線」へのシフト図る民主党の敵は「楽勝ムード」

執筆者: 2009年9月号
エリア: アジア

 衆議院が解散された七月二十一日夜、麻生太郎首相は首相公邸で、河村建夫官房長官、松本純、浅野勝人両官房副長官に囲まれ、千賀子夫人の手料理に舌鼓を打っていた。河村氏は、記念すべき衆院解散の日に、首相にゆっくりと夕食をとってもらえる店を予約しようと計画していたのだが、首相が「山口県で洪水被害もあることだし、衆院議員四百八十人の首を切った後だし……」と断り、外出を控えて公邸での食事となったのだ。 この時の首相には、「苦戦が予想される衆院選に突っ込んでいくという悲壮感は感じられなかった」と同席者は言う。それよりも、むしろ高揚感に包まれ、「ブランデーを持ち出して来て、乾杯する勢いだった」。何がそんなに首相の心を高ぶらせたのか。首相周辺はその胸中をこんなふうに解説した。

カテゴリ: 政治
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