1984年、バンコクのカフェで、マイケル・ジャクソンのミュージックビデオ「スリラー」が上映された時、タイの若者が戦慄し、総立ちになったのを覚えている。狼男に変身したり、ゾンビと踊る奇抜さ、歌や踊りの卓越した娯楽性に、世界的エンターテイナーの登場を実感した。 当時はレーガン大統領がベトナム戦争後遺症を克服し、「強いアメリカ」を志向していた時期。マイケル・ジャクソンは米国の復活を後押しした。同年にはホワイトハウスを訪れ、レーガンと会見。レーガンは日記に「シャイな青年」と書いた。 だが、少年への性的虐待疑惑、度重なる整形疑惑、多くのゴシップや多額の借金など、「キング・オブ・ポップ」はスキャンダルでもスーパースターだった。6月25日の衝撃的な死のあと、様々な“マイケル伝説”がネットを賑わせた。

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