日米戦争前夜、アメリカの黒人を味方に付けようとした日本の秘密工作があった。その先駆けとなった男、中根中。摘発の網をかいくぐり暗躍していた彼が逮捕された頃、ニューヨークでは「第二の男」疋田保一が活発な工作活動を行なっていた……。 一九三〇年代、米国黒人社会で「東洋から来た神」と崇められた日本人、中根中。反白人団体を組織し黒人を暴動へと導こうとした彼は、やがて日本へと強制送還された。その中根がデトロイトに舞い戻っていると米連邦捜査局(FBI)が知るのは、強制送還から五年後の三九年(昭和十四年)のこと。妻・パールからの密告がきっかけだった。
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