国際論壇レビュー

南北首脳会談後も楽観視できない朝鮮半島情勢

執筆者:田中明彦 2000年7月号
タグ: 北朝鮮 韓国
エリア: アジア

 日本の総選挙は世界の注目を集めたことは集めたが、やはり、最も関心を呼んだのは韓国と北朝鮮の南北首脳会談だった。

「金正日委員長の歓迎ともてなしは、期待した以上だった。彼は平壌の飛行場までみずから私を迎えに来てくれたし、帰りも見送ってくれた。百万の人々が街頭で私を歓迎してくれた。これは、平壌で史上最大の人出だったと聞かされた。私にとっては、これは、一つの民族の家族のメンバーとしての愛情の表現だった」というのが、歴史的な南北首脳会談を終えて帰国した金大中大統領の感想であった(“Koreans Are One People and Will Fight No More,”『インターナショナル・ヘラルド・トリビューン(IHT)』、六月二十日)。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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