「天安門文書」が示す中国上層部の権力闘争

執筆者:Foresight 2001年1月号
タグ: 中国
エリア: アジア

 八九年六月に起きた天安門事件後の中国指導部内の議論を暴露する重要資料として米フォーリン・アフェアーズ誌が掲載した「天安門文書」は、真偽や同文書の入手経路をめぐって謎の部分が少なくないが、現上層部の権力闘争が反映されているとの分析が出ている。 同文書が描写する当時の指導部で現在も権力のある地位にとどまっているのは李鵬・全人代常務委員長(事件当時は首相)だけで、「江沢民主席はじめ他の幹部には暴露は実はさほど大きな打撃ではない」(中国ウォッチャー)からだ。李鵬委員長は二〇〇三年春に退任する見通しだが、本人は留任または他の権力のある地位にとどまる意欲が強く、指導部内の波乱要因になっている。

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