国際論壇レビュー

世界中を驚かせた小泉新政権の誕生

執筆者:田中明彦 2001年5月号

 小泉内閣の誕生は、日本人の多くにとってのみならず世界的にも衝撃的であった。日本国内の関心が、小泉新政権の動向に集中したのは当然であろう。 しかし、その間、日本を取り囲む東アジア情勢は、とりわけ米中関係を中心に微妙な緊張感を漂わせていた。また、アメリカでは、中国への対応なども含め、ようやくブッシュ新政権の特徴が明らかになりつつある。「変人」首相への期待と不安 四月はじめの時点で、日本人のほとんどが小泉新政権の誕生を予想しなかったように、世界的にも小泉政権の誕生を予想していた者はほとんどいない。たとえば、自民党総裁選が一週間後に迫ったころですら、『ワシントン・ポスト』紙社説は、橋本龍太郎元首相の返り咲きを前提とした議論を行なっていた。

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執筆者プロフィール
田中明彦(たなかあきひこ) 1954年、埼玉県生まれ。東京大学教養学部卒業。マサチューセッツ工科大学大学院博士課程修了(Ph.D. 政治学)。東京大学東洋文化研究所教授、東京大学副学長、国際協力機構(JICA)理事長、政策研究大学院大学学長、三極委員会アジア太平洋地域議長などを経て、2022年4月より再び国際協力機構(JICA)理事長に就任。著書に『新しい「中世」―21世紀の世界システム』(サントリー学芸賞受賞)、『ワード・ポリティクス―グローバリゼーションの中の日本外交』(読売・吉野作造賞)、『アジアのなかの日本』、『ポスト・クライシスの世界―新多極時代を動かすパワー原理』など。
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