どれだけ安く便利なサービスを実現するか、「物流市場の覇権」を狙いフェデックスとUPSが鎬を削る。激化する競争に「官業」がついて行くのは容易でないが、競争は消費者に利益をもたらした。[ニューヨーク発]エルビス・プレスリーの故郷として知られるテネシー州メンフィスの国際空港。午後十一時半を回ると爆音を伴い貨物機の群れが滑走路に降りて来る。ここは全米や海外から荷物を積んだフェデックス機が集まる同社最大のハブ(拠点)だ。 発着する貨物機は一日百機以上。通常で百五十万個、多いときには二百万個もの荷物を降ろし、九千人の従業員で夜を徹して仕分けする。八十四本もあるベルトコンベヤーには荷物一個一個の行き先、顧客情報などの情報が書き込まれたバーコードの読み取り機が張り巡らされ、誤配率は限りなくゼロに近い。コンピューターの管理システムは九千人の作業者にも全く無駄な動きをさせず、早朝五時までにはすべての貨物機が飛び立つ。
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