シンガポールの次なる「宝の山」バイオメディカル・サイエンス

執筆者: 2002年7月号
タグ: 中国 韓国 日本
エリア: アジア

 シンガポールでいま、子供を持つ親に「我が子をどんな分野に進ませたいか?」と聞くとかなりの確率で「バイオメディカル・サイエンス」との答えが返ってくるだろう。政府の閣僚がことあるごとに国民に訴えるのは、中国との経済関係の重要性とバイオメディカル・サイエンスの将来性。万事が政府主導で進み、それが東南アジア随一の成長を遂げた原動力であることを身をもって知っているシンガポール人は、政府の座標軸に敏感に反応する。だれもが「宝の山がバイオメディカルにある」と感じ始めている。 同国の製造業はエレクトロニクス、化学、エンジニアリングの三本柱で成長の階段を駆け上ってきた。中でも情報通信機器や半導体で構成するエレクトロニクスはいまも生産の約四割を占める大黒柱だが、より付加価値の高い産業への構造転換が不可欠とみて政府が一九八〇年代半ばごろから着目したのがバイオメディカル・サイエンスだった。

カテゴリ: 環境・エネルギー
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