橋本龍太郎、村山富市、野中広務はじめ無慮一万三千の日本人が、北京の人民大会堂に集うて日中の友好三十周年を祝ったという。その間も埼玉県では一晩に三件もの金庫の盗難があった。 バールで店の戸をこじ開け、商品棚を押し除けて搬出口を確保しておき、二百キロもある奥の金庫を一気に持ち出して逃げる。五分以内の早わざ。密航シナ人の一団は捕えたが、他に何グループかいるらしい。そういうことは、人民大会堂の食事中、話題にならなかったのか? 拉致は日本人の作り話だと言い続けてきた国が、突然「八人死んだ」「自殺だ」「ガス中毒だ」「墓は流れた」と言った。誰が信じられよう。だが、せめて北京での和やかな談笑の間に、誰かが聞いてほしかった。

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