「僕の話は平凡すぎるんじゃないかなぁ。十六歳のときアメリカに来てから、特に気負うこともなく、ずっと自然体でやってきただけですから」 インタビューを申し込んだ私に、クアルコム(本社・サンディエゴ http://www.qualcomm.com/)のエンジニアリング部門ディレクター・寺澤大輔君(三一)=独身=はこう答えた。さっそく彼の「自然体の十五年間」のストーリーに耳を傾けてみよう。「アメリカに駐在することになった両親と一緒に、ロサンゼルス近郊のパロスバルデスという町にやって来たのは一九八七年でした。当時武蔵高校の二年生だったので、来た当初は一年くらいで日本に帰って受験するのかなと漠然と想像していました。でも、こちらで通うことになった公立高校の友達が皆、大学進学の準備をしていたので、そんなオプションもあるのなら僕もやってみようと、軽い気持ちでアメリカの大学を目指すことにしました」

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