一月七日午前十一時半すぎ、自民党の新年祝賀会が党本部九階の大会議室で始まった。司会の松谷蒼一郎前官房副長官に促され、談笑の輪を抜け出した小泉純一郎首相は、登壇すると緊張した表情で語り始めた。「新たな気持ちを持って、内外の政治課題に皆さんとともに取り組んでいきたい。内政、外交とも難問山積。今年も皆さんの協力と与党三党の結束を大事にしながら、内外の予想を超える事態にも対応し、諸々の改革に取り組んでいかなければならない」 構造改革推進を訴えるいつもの内容のようだが、対決も辞さずの強気の物言いは、この日は一切なかった。目立ったのは厳しい状況認識と結束を求める発言だ。出口の見えないデフレ不況、緊迫化するイラク、北朝鮮情勢。首相の胸中を占めていたのは、嵐の海に出航する船長のような心境だったに違いない。

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