下にも置かない歓待とはこのことだろう。一月二十六日から三日間、中国の胡錦涛国家主席を国賓で迎えたフランスのことである。 昨年六月のエビアン・サミット(主要国首脳会議)でフランスを訪れている胡主席が、アフリカ歴訪の途中とはいえわずか七カ月後に再訪した背景にはフランスの強い要請があった。ドゴール元大統領が他の先進国に先駆けて中国と国交を結んで今年で四十年。中国の旧正月期間中の国交樹立の一月二十七日に胡主席を迎え、両国関係を強化したい狙いがフランスにあった。イラク戦争後の外交守勢を挽回し、構想する多極化に布石を打つ絶好の機会でもあった。

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