インド空軍機商戦は「空飛ぶ棺」が決め手に

執筆者:Foresight 2004年5月号
エリア: アジア

 ほぼ二十年にも及ぶ紆余曲折の末、三月二十一日、インド政府は英BAEシステムズ社との間で覚え書きを取り交わした。同社製の新鋭練習機「ホーク」六十六機を総額十四億五千万ドルで購入するという契約で、当初、十六億三千万ドルの取引になると言われていたものだ。 この取引がなかなか合意に達しなかった背景には、競合する二国からの強い圧力があった。仏ダッソー社は「アルファジェット」を、ロシアは「ミグAT」の売り込み工作を続けてきたからである。フランスが脱落した時点でイギリスが優位に立ったが、今度はブラジルが割り込んできた。エンブラエル社の「AMX-T」はベネズエラ空軍でホークより高い評価を得ているうえ、価格も三〇%安いというのが売り文句だった。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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