英仏協商百周年を記念して、英国のエリザベス女王が四月五日から七日まで国賓としてフランスを訪れ、大歓迎を受けた。英王室とフランスの「特別な関係」は、両国の確執を緩和する上で大きな心理的効果をもたらした。 女王が国賓としてフランスを訪れるのは一九五七、七二、九二年についで四回目で、諸外国の中で最多回数である。「第一回の訪問の時から、女王はパリにこのうえない愛着を感じておられます」とバッキンガム宮殿は事前ブリーフィングで述べた。 英仏協商は、フランス語でen-tente cordiale(真心からの合意の意)。両国は一八九八年のスーダンのファショダでの武力衝突を機に、一九〇四年に一年越しの交渉で協商を締結し、植民地勢力圏を取り決めた。結果的には英仏協商は百年戦争(十四世紀)以来の両国の覇権競争に終止符を打ち、英国の欧州大陸からの孤立主義を終わらせるものとなったのである。

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