[モスクワ発]ロシア南部のチェチェン共和国では、親ロシア派のアフマド・カディロフ大統領が五月九日暗殺されたことを受け、八月二十九日に新指導者を選出する大統領選挙が行なわれる。だが、次期指導者の有力候補と目されていた人物たちがすでに相次ぎ辞退した。この異常な事態は、親ロシア派チェチェン人によって紛争を終結させるというクレムリンの和平戦略が苦況に置かれていることを如実に示している。 チェチェンでは六月九日までに、六人が立候補を届け出た。モスクワが拠点の巨大コンツェルン総裁や元チェチェン大統領補佐官といった人物たちだが、チェチェンでの知名度や力量は今ひとつ。クレムリンの合意も得ていない。

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