世界人間関係マップの出現

執筆者:梅田望夫 2004年7月号
タグ: フランス

 六次の隔たり(6 Degrees of Separation)という有名な学説がある。「地球上の任意の二人を選んだとき、その二人は、六人以内の人間関係(知己)で必ず結ばれている」というこの学説。数学の「予想」ではなく現実社会の話だから証明の術はない。しかし見知らぬ地球上の誰かと自分の関係を想像し、「なるほど六人(それが七人でも別に大差ない)くらいを介せば、確かに誰とでもつながるだろうな、世間は狭いと昔から言うものな」と、少し考えれば実に納得感のある学説なのである。 この学説自身には大した価値がないけれど、現実に「地球上のすべての人々が誰とどういう知己関係にあるか」という「巨大な人間関係マップ」を構築し、そのデータベースを握ることができれば……。「ソーシャル・ネットワーキング」事業というおしゃれな名前のかげには、こんな怖ろしい構想が隠されている。その主役はまたまたグーグルだ。

カテゴリ: IT・メディア
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執筆者プロフィール
梅田望夫(うめだもちお) 1960年東京都生れ。94年渡米、97年コンサルティング会社ミューズ・アソシエイツを起業。著書に『ウェブ進化論』(ちくま新書)、『ウェブ時代をゆく』(同)、『ウェブ時代 5つの定理』(文藝春秋)、『ウェブ人間論』(共著、新潮新書)など。メジャーリーグの野球、そして将棋の熱烈なファン。
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