この本は、日本長期信用銀行の破綻と新生銀行としての再出発を題材としたノンフィクションである。しかし、企業や業界の内幕物というような、ありきたりな企業ノンフィクションとは違う。むしろ、日本の戦後復興、バブル経済発生からその後の長期不況にいたる数十年の歴史を、長銀の破綻と再生という切り口から描き出した一種の大河小説のような趣がある。『セイビング・ザ・サン』(日本経済新聞社)の三人の主人公は、破綻当時の長銀頭取・大野木克信、その長銀を買収したリップルウッド・グループを率いるティモシー・コリンズ、そして、この銀行の再生を託された新生銀行社長の八城政基である。
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