チュニジア「ジャスミン革命」の衝撃は、長期政権が連なるアラブ世界の街角を伝って、街道を揺るがせ始めた。今その発火点は、治世30年に及ぶエジプトのムバラク政権の足元にある。この30年で激しく変化してきたエジプト情勢において、ムバラク政権の制度疲労ぶりは国際社会の懸念を集めていたのだが、限界がみえてきた。
チュニジアの前ベンアリ政権にしてもムバラク政権にしても、大統領一族が政治と経済を支配して“王朝”化するような体制を「権威主義体制」と呼ぶ。王的な支配は、その絶頂期においては挑戦者をもたないが、ひとたび不満と嫉妬に火がつくと、政権交代要求を超えて“王殺し”の様相になる。
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