中国の対途上国融資が世銀を抜いた?

執筆者:平野克己 2011年2月6日
エリア: アフリカ アジア

 1月17日付「ファイナンシャル・タイムズ」紙(ウェブ版)に、少々衝撃的な記事が載った。中国開発銀行と中国輸出入銀行が開発途上国に対してコミットした融資額が、2009年と2010年の合計で1100億ドルとなり、同時期の世界銀行融資額1003億ドルを上回ったというのだ。

 中国は「援助額」を公表していない。公表するつもりもないといっている。であるから、この数字は「ファイナンシャル・タイムズ」が、これまで公表された中国の個別融資契約を集計したものだという。比較されている世銀融資は、ODAに分類される国際開発協会(IDA、第二世銀)の有償援助は含んでおらず、IDAよりも融資条件が厳しい国際復興開発銀行(IBRD)のものだ。

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執筆者プロフィール
平野克己(ひらのかつみ) 1956年生れ。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済研究科修了。スーダンで地域研究を開始し、外務省専門調査員(在ジンバブエ大使館)、笹川平和財団プログラムオフィサーを経てアジア経済研究所に入所。在ヨハネスブルク海外調査員(ウィットウォータースランド大学客員研究員)、JETRO(日本貿易振興機構)ヨハネスブルクセンター所長、地域研究センター長などを経て、2015年から理事。『経済大陸アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』 (中公新書)のほか、『アフリカ問題――開発と援助の世界史』(日本評論社)、『南アフリカの衝撃』(日本経済新聞出版社)など著書多数。2011年、同志社大学より博士号(グローバル社会研究)。
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