プーチン氏はバラマキ型――ロシアが空前の国防予算増

執筆者:名越健郎 2011年11月28日
エリア: ヨーロッパ

 12月4日の下院選、来年3月4日の大統領選を控えたロシアは政治の季節に入ったが、与党・統一ロシアの支持率は40%台に下落、前回のような3分の2の安定多数確保は困難な情勢だ。長期化するプーチン体制下で停滞感が広がり、実際の支持率はさらに低いとの見方もある。

 政権側は下院選で圧勝し、その勢いでプーチン氏の大統領返り咲きを確実にしたい意向だ。そのためには、バラマキ政策が有効とみなし、教師や医者、軍人、警官らへの給与大盤振る舞いを公約している。

 11月17日にプーチン首相が主宰した閣議には驚かされた。新任のシルアノフ財務相は、「軍人や警官の給与を来年1月から2.5-3倍引き上げる。連邦保安局(FSB)要員の給与も来年1月から同規模引き上げる」と述べ、今後2年間で給与増に3兆ルーブル(約9兆円)を追加拠出すると報告した。ロシア公務員の給与は全般に安いものの、異例の大昇給である。

カテゴリ: 政治
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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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