外務省の田中均外務審議官の動向がロシアとの平和条約交渉で注目を集めている。田中氏は、十月初めに来日した、プーチン大統領の側近中の側近といわれるビクトル・イワノフ大統領補佐官との間で、来年三月ともいわれているプーチン大統領の訪日に向け、裏折衝を行なうのではないかとの観測が流れているためだ。 イワノフ補佐官は本誌十月号でも指摘したように、KGB(旧ソ連国家保安委員会)出身でサンクトペテルブルク時代にプーチン大統領と知り合ったといわれている大統領の黒衣役。今回の来日も外務省の招待で日本の人事制度を視察するというのが表向きの名目だが、大統領訪日に向けて、北方領土問題での日本側の出方を見極めるのが狙いとみられる。

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