中国人「亡命スパイ」が実名暴露した「香港・台湾工作」の実態

執筆者:山田敏弘 2019年11月27日
エリア: アジア
インタビュー映像はYouTubeでも視聴できる(「60ミニッツ オーストラリア」より)

 

 昨年秋、筆者は台湾の内閣に当たる「台湾行政院」の「資通安全処(情報通信安全局=サイバーセキュリティ局)」で局長を務める簡宏偉氏に話を聞く機会があった。

 簡局長は、中国が「サイバー攻撃の実験場」だと見なしている台湾のサイバーセキュリティ政策を取り仕切るトップである。

 すぐ後に台湾の統一地方選挙(2018年11月24日)を控えていた簡局長は、こう語っていた。

「台湾では間もなく統一地方選挙がありますが、虚偽の情報(フェイクニュースなど)を広めるキャンペーンが行われている。メディアの記事にも紛れ込んでいます。これらの工作が中国から行われていることは、はっきりと把握しています。しかも虚偽の情報は、中国本土からではなく、台湾国内のメディア関係者や台湾人から発信されている。私たちは、サイバー空間での捜査などを行っていて、彼らが台湾に入った中国の工作員などを通して中国政府から金銭的な支援を受けていることも突き止めています」

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執筆者プロフィール
山田敏弘(やまだとしひろ) 国際情勢アナリスト、国際ジャーナリスト、日本大学客員研究員。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版、MIT(マサチューセッツ工科大学)フルブライトフェローを経てフリーに。著書に『モンスター 暗躍する次のアルカイダ』(中央公論新社)、『ハリウッド検視ファイル トーマス野口の遺言』(新潮社)、『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『CIAスパイ養成官』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(KKベストセラーズ)、『世界のスパイから喰いモノにされる日本』(講談社)、『死体格差 異状死17万人の衝撃』(新潮社)、『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』(文春新書)。公式YouTube「山田敏弘 SPYチャンネル」 (https://www.youtube.com/channel/UCVITNlkbLneMV-C9FxzMmEA)も更新中
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