アブハジアに「領土割譲」迫るロシアのDNA

執筆者:名越健郎 2013年9月26日
エリア: ヨーロッパ

 2008年8月の北京五輪さ中にロシア軍がグルジアに侵攻したグルジア戦争から8月で5周年。ロシアが現在、侵攻直後に独立を承認したグルジアの南オセチア自治州、アブハジア自治共和国との国境交渉に着手しており、アブハジア領の一部併合を狙っていることはあまり知られていない。

 

 アブハジアと南オセチアの独立を承認したのは今のところ、ロシア、ベネズエラ、ニカラグアなど数カ国にすぎず、他の旧ソ連諸国も承認していない。しかし、ロシアは5年前の独立承認後、両地域と友好協力条約を締結。ロシア軍部隊を両地域に駐留させ、事実上の保護領としている。ロシアは3年前からアブハジアと国境画定協議を実施。プーチン大統領は今月、南オセチアとも国境画定交渉を行なうようロシア外務省に指示した。両地域独立の既成事実化を進める狙いがある。

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執筆者プロフィール
名越健郎(なごしけんろう) 1953年岡山県生まれ。東京外国語大学ロシア語科卒業。時事通信社に入社、外信部、バンコク支局、モスクワ支局、ワシントン支局、外信部長、編集局次長、仙台支社長を歴任。2011年、同社退社。拓殖大学海外事情研究所教授。国際教養大学特任教授を経て、2022年から拓殖大学特任教授。著書に、『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書)、『ジョークで読む世界ウラ事情』(日経プレミアシリーズ)、『独裁者プーチン』(文春新書)など。
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