「金正恩一元支配」へ進む北朝鮮(上)ナンバー2降格の意味

執筆者:平井久志 2014年5月10日
エリア: アジア

 朝鮮中央通信は5月1日、新たに建設された金正淑(キム・ジョンスク)平壌紡績工場の労働者寮で同日行われたメーデー慶祝労働者宴会を報じる中で、宴会で祝辞を述べた黄炳瑞(ファン・ビョンソ)党組織指導部第1副部長を「朝鮮人民軍総政治局長である朝鮮人民軍次帥」の肩書きで報じた。この報道で、軍総政治局長が崔龍海(チェ・リョンヘ)氏から黄炳瑞氏に交代したことが確認された。崔龍海氏は5月2日に党書記への就任が明らかになり、金正恩(キム・ジョンウン)政権の事実上の「ナンバー2」の座から転落し、大幅に降格されたことが判明した。そして、新たな側近勢力のリーダーとして黄炳瑞氏が台頭した。

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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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