2014年秋「平壌打令」(4)「元山開発」に秘められた「対南攻勢」の思惑

執筆者:平井久志 2014年11月21日
エリア: アジア

 訪朝第4日目の10月10日は朝鮮労働党創建記念日です。この日は、元山を日帰り訪問することになっていました。金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の「故郷」でもあり、開発が急速に進んでいる元山訪問はわれわれの希望でしたが、党創建記念日に元山行きになったのは少し意外でした。北朝鮮側が平壌で党創建記念日の関連行事参観をセットするのではと思っていたからです。今年は党創建69周年で「区切りの年」ではないために、催しも小規模でした。そのために、われわれに見せるものが、あまりなかったのかも知れません。

 ホテルを午前8時に出発しました。平壌と元山を結ぶ道路は北朝鮮でも主要幹線道路です。興味深かったのは平壌を出発して数字の標識がずっとあったことでしたが、途中からそれが平壌からのキロ数を表すものであることが分かりました。その裏側にも数字があり、それは元山からのキロ数でした。この標識によると、平壌―元山間は194キロという計算になります。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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