米国にとっての「ウクライナ問題」(下) NATO の東方拡大がもつ意味

 前回11月25日付「米国にとっての『ウクライナ問題』(上)『大戦後最も深刻な国境線変更』」に引き続いて、米国にとっての「ウクライナ問題」を考えてみたい。今回は、冷戦終結後の北大西洋条約機構(NATO: North Atlantic Treaty Organization)の東方拡大をめぐる議論を考察する。

 NATO の東方拡大というのは、1990年代後半から続いてきた東欧の旧共産圏諸国のNATO 加盟の流れを指す。1999年にチェコ、ハンガリー、ポーランドがNATO に加盟したのを皮切りに、2004年にブルガリア、エストニア、ラトビア、リトアニア、ルーマニア、スロバキア、スロベニアが加盟、2009年にはアルバニアとクロアチアが加わって現在に至っている。

カテゴリ: 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
武内宏樹(たけうちひろき) サザンメソジスト大学(SMU)政治学部准教授、同大学タワーセンター政治学研究所サン・アンド・スター日本・東アジアプログラム部長。1973年生れ。カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)博士課程修了、博士(政治学)。UCLA 政治学部講師、スタンフォード大学公共政策プログラム講師を経て、2008年よりSMUアシスタント・プロフェッサーを務め、2014年より現職。著書に『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、Tax Reform in Rural China: Revenue, Resistance, Authoritarian Rule (ケンブリッジ大学出版会、2014年)。ほかに、International Relations of the Asia-Pacific、Japanese Journal of Political Science、Journal of Chinese Political Science、Journal of Contemporary China、Journal of East Asian Studies、Modern Chinaなどに英語論文を掲載。専門は、中国政治、日本政治、東アジアの国際関係及び政治経済学。
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