フランスは「自由主義」を選んだ。だが「手厚い保障」に慣れてきた国民は本当に意識を転換できるのか。新大統領の手腕が問われる。「私はすべてのフランス人の大統領です」 大統領選の決選投票が行なわれた五月六日の夜、ニコラ・サルコジは、噛みしめるように言った。五十二歳という若き新大統領の勝利宣言だった。 昨年十一月、フランス社会党がセゴレーヌ・ロワイヤルを初の女性大統領の候補に選出して始まった「政治の祭典」は、本命といわれていた保守派のサルコジ民衆運動連合(UMP)候補の勝利で幕を閉じた。決選投票の結果は、サルコジ五三%に対して、ロワイヤル四七%。国民のメンタリティーのせいか、決選は僅差となるのが通例だが、今回はサルコジの大勝だった。投票翌日の保守系フィガロ紙一面トップの見出しは「明らかな勝利」。圧勝といわれた一九六五年のシャルル・ドゴールが五五%、フランソワ・ミッテランが再選された八八年も五四%で、サルコジの支持率はそれらと比べても遜色ない。
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