インダストリー4.0:ドイツ発「モノづくり標準化」の現場から

執筆者:木村正人 2015年4月23日
エリア: ヨーロッパ
モノづくりの巨人シーメンスのブース。インダストリー4.0の未来感を派手に演出した(筆者撮影)

[ドイツ・ハノーバー発]モノづくりの巨人、シーメンス(本社・ミュンヘン)が雄叫びを上げていた。「誰が世界ナンバー・ワンのチームだ」「チーム・シーメンスだ」。社員のアドレナリンは朝から全開だった。4月中旬、ドイツで開かれた産業見本市「ハノーバー・メッセ2015」。日本のモノづくりを支える大企業、中小・零細のエンジニアも大挙してやってきた。ドイツの産官学が総力を注ぐ国家プロジェクト「インダストリー4.0(第4次産業革命)」がようやくその全容を見せ始めたからだ。開発・生産工程、サプライチェーンをすべてインターネットでつなぎ、人間の手を介さず自律的に進化するドイツ型スマート工場を世界中に展開しようという壮大な構想だ。シーメンスと欧州最大のソフトウェア会社SAPが原動力になっている。半導体、携帯電話、液晶テレビで敗退した日本のモノづくりにとって、食うか食われるかの、新たな戦いが始まった。

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執筆者プロフィール
木村正人(きむらまさと) 1961年大阪府生れ。84年京都大学法学部卒業後、産経新聞社に入社。大阪府警・司法キャップなど、大阪社会部で16年間事件記者を務める。2002-03年、米コロンビア大学東アジア研究所客員研究員、07年からロンドン支局長。12年7月独立し、ロンドンを拠点に活動するフリージャーナリストに。日本国憲法の改正問題(元慶応大学大学院非常勤講師=憲法)や日英両国の政治問題、国際政治、安全保障、欧州経済に詳しい。公式サイト「木村正人のロンドンでつぶやいたろう」 http://kimumasa2012london.blog.fc2.com/
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