「不適切会計」に揺れる「東芝」を蝕む歴代トップの「財界総理病」

執筆者:安西巧 2015年6月10日
タグ: 安倍晋三 日本
エリア: アジア
5月29日、不適切会計問題で2度目となる謝罪会見の冒頭、頭を下げる東芝の田中久雄社長(東京都港区の同社本社)(C)時事

 連結売上高6兆8500億円(2015年3月期予想)の巨大企業『東芝』が、28年前の「ココム(対共産圏輸出統制委員会)違反事件」以来の深刻な危機に直面している。証券取引等監視委員会(SESC)への内部通報で発覚したインフラや半導体分野の「不適切な会計処理」で、一時は上場廃止の観測も飛び交い、例によって財務当局と東京証券取引所の“お目こぼし”で最悪の事態を免れたのも束の間、今度は海の向こう米国で株価急落に対する損害賠償訴訟の準備が始まった。非常事態に際して、2年前の就任以来、存在感のなさを指摘され続けてきた社長の田中久雄(64)は右往左往するばかり。4代前の西室泰三(79)以後の歴代社長が未だに「わが物顏」で社内を闊歩する旧態依然の序列意識が、「無責任」の経営風土を醸成してきたといえる。

カテゴリ: 経済・ビジネス 政治
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執筆者プロフィール
安西巧(あんざいたくみ) ジャーナリスト 1959年福岡県北九州市生まれ。1983年早稲田大学政治経済学部政治学科卒、日本経済新聞社入社。主に企業取材の第一線で記者活動。広島支局長、編集委員などを歴任し、2024年フリーに。フォーサイトでは「杜耕次」のペンネームでも執筆。著書に『経団連 落日の財界総本山』『広島はすごい』『マツダとカープ 松田ファミリーの100年史』(以上、新潮社)、『さらば国策産業 電力改革450日の迷走』『ソニー&松下 失われたDNA』『西武争奪 資産2兆円をめぐる攻防』『歴史に学ぶ プロ野球16球団拡大構想』(以上、日本経済新聞出版)など。
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