「恐怖統治」下の北朝鮮(上)進む「人工衛星」打ち上げ準備

執筆者:平井久志 2015年6月25日
エリア: アジア

 北朝鮮メディアは5月3日、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記が新たに建設された国家宇宙開発局衛星管制総合指揮所を現地指導したと報じた。
 金正恩第1書記は「平和的な宇宙開発は朝鮮労働党と人民が選択した道、先軍朝鮮の合法的な権利だ」と述べた。この上で「人工衛星製作および打ち上げ国としてのわれわれの地位は、敵対勢力が否定するからといって決して変わるのではなく、宇宙の開発は誰かが反対するからといって諦める事業ではない」とし、「チュチェ朝鮮の衛星は今後も、党中央が決心する時間と場所で次々と宇宙に向かって打ち上げられるだろう」と強調した。
 金正恩第1書記のこの発言は、北朝鮮が2012年12月の「光明星3号2号機」発射に続く人工衛星発射を準備していることを明らかにしたものとみられる。そうなれば、人工衛星発射は事実上の長距離弾道ミサイルの発射実験であり、国際社会から強い反発の声が上がることは必至だ。

カテゴリ: 政治 軍事・防衛
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執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
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