「取調べ可視化」へ向けた国会の動きを見逃すな

執筆者:原英史 2015年9月3日
カテゴリ: 政治 社会
エリア: 日本

 安保法制ばかりが注目を集めがちな今国会だが、ほかにも重要法案の審議が動いている。
 そのひとつが、取調べ可視化などを内容とする刑事訴訟法等改正案だ。同法案は、8月7日に衆議院を通過した(注:その後、参議院での実質審議入りを巡って協議がなされていたが、「ヘイトスピーチ法案」の審議を先に扱うよう求める民主党などの主張と折り合わす、4日の時点で今国会での成立は見送りの方向と報じられている)。

 今回の法改正の背景は、2010年前後に厚生労働省元局長事件(2010年無罪判決)、足利事件(同年再審無罪判決)などの冤罪問題が相次いで注目されたことだ。同年、法務省に設けられた「検察の在り方検討会議」【リンク】では密室での取調べが冤罪の温床と指摘され、提言「検察の再生に向けて」(2011年3月)で「取調べ可視化(録音・録画)の拡大」という方向が示された。
 取調べ可視化は、裁判員制度導入を契機に、検察・警察それぞれで(2006年・2008年から)部分的な試行が始まっていたが、こうした動きに合わせて、可視化の範囲を拡大。さらに、制度的な可視化義務付けについて、法制審議会で「新時代の刑事司法制度特別部会」を設けて検討が続けられた【リンク】(2011年6月に検討スタートし2014年9月答申に至る)。ここでの検討結果に基づいて提出されたのが、今回の刑事訴訟法等改正案(2015年3月閣議決定・提出)だった。

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執筆者プロフィール
原英史 1966(昭和41)年生まれ。東京大学卒・シカゴ大学大学院修了。経済産業省などを経て2009年「株式会社政策工房」設立。政府の規制改革推進会議委員、国家戦略特区ワーキンググループ座長代理、大阪府・市特別顧問などを務める。著書に『岩盤規制―誰が成長を阻むのか―』、『官僚のレトリック』など。
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