インテリジェンス・ナウ

北朝鮮「テロ支援国指定」解除を止めたイスラエル「シリア空爆」の真の狙い

執筆者:春名幹男 2008年4月号
エリア: 中東 アジア

 昨年末、福田政権は対北朝鮮外交戦略の転換を迫られそうな気配だった。ブッシュ米政権が北朝鮮に対するテロ支援国家指定を解除するのは「不可避」と思われたからだ。 指定が解除されれば、北朝鮮は世界銀行など国際金融機関から融資を受けられるようになる。日本の経済制裁の効果はさらに薄れ、「重要な交渉カード」を失うとみられた。 十一月にホワイトハウスで行なわれた日米首脳会談は奇妙だった。共同記者会見で、両首脳は、焦点のテロ支援国家指定解除に関して一切言及せず、質問も受け付けなかった。 だが翌月、風向きは大きく変わり、福田首相にとっては逆風が順風になった。ヒル米国務次官補が十二月初め、北朝鮮を訪問して、六カ国協議の「ハードル」を上げ、それ以後、交渉が停滞してしまったのだ。

カテゴリ: 経済・ビジネス
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執筆者プロフィール
春名幹男(はるなみきお) 1946年京都市生れ。国際アナリスト、NPO法人インテリジェンス研究所理事。大阪外国語大学(現大阪大学)ドイツ語学科卒。共同通信社に入社し、大阪社会部、本社外信部、ニューヨーク支局、ワシントン支局を経て93年ワシントン支局長。2004年特別編集委員。07年退社。名古屋大学大学院教授、早稲田大学客員教授を歴任。95年ボーン・上田記念国際記者賞、04年日本記者クラブ賞受賞。著書に『核地政学入門』(日刊工業新聞社)、『ヒバクシャ・イン・USA』(岩波新書)、『スクリュー音が消えた』(新潮社)、『秘密のファイル』(新潮文庫)、『米中冷戦と日本』(PHP)、『仮面の日米同盟』(文春新書)などがある。
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