地震はしばしば日本の風景を変える。1995年1月の阪神淡路大震災は、同年3月のオウム真理教の地下鉄サリン・テロ、米クリントン政権が仕掛けた超円高と相まって、戦後日本の成長幻想の背骨をへし折った。2011年3月の東日本大震災は、津波による巨大な被害と東電福島第1原子力発電所の大事故を伴い、日本社会を沈没寸前に追い詰めた。
今回、4月の熊本・大分地震の前震と本震の震度は7と、東日本大震災に匹敵する。被害に遭われた方には誠にお気の毒だが、阪神淡路大震災などとも異なり、被災地が都市部でなかったこともあって、犠牲となった方の数はそれらの地震に比べて格段に少なかった。内陸地震だったため、津波の被害も発生せずに済んだ。しかも大きな揺れが夜だったので、走行中の新幹線が脱線転覆して、多数の犠牲者を出すようなこともなくて済んだ。稼働を再開した九州電力の川内原子力発電所も無事だった。
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